作曲ができない方のために
どうしたら作曲できるようになるのか?
- 芸術は模倣から
何もない所から作曲をすることの難しさ。
多くの人がそこで挫折してしまうのも確かです。
その挫折を回避するとっておきの方法、
それが好きな曲のコピーをしてみるという方法です。
まずは自分で作曲する前に好きなアーティストの曲を完コピしてみるのです。耳コピでも構いませんし、スコアを買ってきてシーケンサーで打ち込んでみるという方法でも構いません。
1.まずはコード進行を追ってみる。
好きな曲の「ここが特に好きだ」という部分を集中的にコード解析していきます。
・どんなコードが使われているのか
・どんなコード進行になっているのか
・オンコードが苦手なら、分子だけを追ってみる
そのコード進行がまだ知らないコード進行なら、そこで新たな知識をゲットです。
なぜそのようにコードが動くのか、それは後回しでも構いません。
手が無意識に動くまでそのコード進行を体に叩き込むのです。
2.メロディーの動き方を解析してみる
コードの次はメロディーラインの動き方を解析してみます。
・どんな符割りで構成されているのか
・音程の跳躍など、音の動き方はどうなのか
・コード進行との兼ね合いはどうなっているのか
一般の音楽ファンなら耳だけで音楽を楽しめばいいのですが、作曲家は音楽を頭に叩き込み、体に覚えさせなければなりません。
耳コピが苦手なのであれば、メロダインなどの解析プラグインを使うのも手です。
音程の動きそのものを解析していくのです。
なぜそのメロディーが「いい」と感じるのか。
そこには必ず理由があるのです。
答えを先に言ってしまうと、コード進行の力が最も大きく、次に音程の動き方が影響し、そしてその背後でメロディーのリズムワークが作用しているからです。
そのいずれも「好きだ」「いい」と感じるのは、音楽の長い歴史の中で人類に蓄積されてきた膨大なデータベースの影響下に我々はあるからなのです。
モーツァルトやベートーヴェン、バッハやワーグナー、ショパン、幼稚園で歌った童謡や歌謡曲、街の中やテレビで無意識下で聴いていたCMソング、流行歌や懐メロソング、ジャズやテクノ、EDMやロック、オーケストラや映画音楽、ゴスペルやボーカロイド、盆踊りやダブステップ…
そのあらゆるジャンルの「おいしいところ」が、我々の頭の中に深く深く入り込んでいるのです。その「おいしいところ」が集約、解析され、瞬間的に呼び出されて我々の脳は「この曲いい !」と判断するのです。
キャッチーなコード進行、ポップなメロディーライン、心地よいリズムワーク
あらゆるジャンルを超えて、人類が「好きだ」と感じる音楽には普遍の法則があるのです。
カノン進行 などは良い例です。
カノン進行は17世紀に発明されたコード進行ですが、現在でもポップスなどで多くの人に愛されているコード進行です。人類共有の財産と言ってもいいくらいです。
ビートルズが「好きだ」は、初音ミクが「好きだ」にもなります。盆踊りの「いいところ」は、ダンスミュージックの「いいところ」にもなるのです。
それが、コード進行の場合もありますし、メロディーラインの運び方の場合もあります。リズムワークが鍵になっている場合もあります。
それらの要素をまずは模倣してみることから始めてみると、音楽の不思議や秘密が少しずつ少しずつわかってくるようになると思います。
どうやら、音楽にはある普遍の法則があるということに。
そしてその普遍の法則を知った上ではじめて、オリジナリティーが生まれてくるのです。
3.サウンドの解析をしてみる
これは編曲やサウンド・プロダクションの領域になりますが、「サウンドの模倣」というのもスキルアップの秘訣になります。
サンプリングしてみる、好きなアーティストと同じ機材を使ってみる、同じエフェクター、同じギターやシンセ、同じプラグイン…
とにかく同じものを揃えてみる、という方法でゴールに近づいていくのです。
ここで言うゴールとは、あらゆるメロディー、あらゆるサウンドを自分の中から、なんの迷いもなく確実に生み出せるという次元のことです。
4.MIDIデータで解析してみる
この方法はあまり知られていない方法だと思います。
耳コピもプラグインもどうも苦手だという方には最適だと思います。
「MIDIデータ」とはシーケンサーで使う演奏情報のファイルのことですが、ポップスやクラシックなどの曲を下記のようなサイトで、MIDIデータとして買うことが出来ます。
MIDIデータをシーケンサーに取り込めば、曲の全パートがピアノロール画面に視覚的なデータとして展開されますので、コード進行やベースラインの動き方、メロディーの音程移動、ハーモニー、オブリガート、リズムトラックなど、曲の情報すべてが一目瞭然です。
解析するだけなら無料やデモ版のシーケンサーソフトで十分だと思います。
編曲に興味のある方であれば、ストリングスならチェロやビオラの構築方法、バイオリンの役割、ブラスなら和音の鳴り方、シンセベースのピッチベンディング、ドラムのフィルインなど色々なことをMIDIデータから学べると思います。
MIDIデータで音楽を聴くという文化は、サウンド隆盛の今の時代には化石同然の代物となりましたが、「音楽の教材」としての役割はまだまだ現役で担っています。
もちろん、曲制作においてはMIDIはシーケンサー上の世界共通の「言語」でもありますから、DAWに興味のある方は絶対にマスターしなければならないものでもあります。
「芸術は模倣から」
昔からよく言われてきた言葉ですが、確かにそうです。
音楽のことが、作曲のことがよくわからなくなってしまった時は、好きな曲を徹底的に真似てみることです。
もちろんそのまま世には出せませんが、確実に自分の中で糧となるはずです。
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